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市長が計画中止を正式申し入れ…どうなる、堺のチンチン電車(産経新聞)

 堺市の“チンチン電車”が消えるかどうかの岐路に立たされている。堺市中心部で計画されていた次世代型路面電車(LRT)と一体経営する計画だった阪堺線の堺市区間(7・9キロ)をめぐり、竹山修身市長が22日、阪堺電気軌道の親会社である南海電気鉄道側にLRT計画中止の申し入れを正式に行った。今後は年間2億円以上の赤字を垂れ流し、「一般的には成り立たない」(南海)といわれる堺市区間の具体的な支援策が焦点となるが、堺市側と南海側では温度差もあり、チンチン電車の“運命”はどうなる…。

 ■LRT計画中止

 「中止は市長の公約であり、やむを得ないと考えている」。

 22日夕方、大阪市中央区の南海本社を訪れ、LRT計画の中止を表明した竹山市長に対し、同社の亘信二社長はこう話した上で、阪堺線への支援策の提示を要請した。

 南海側が公式に阪堺線の支援を要請するのは今回が2度目。昨年12月28日には、阪堺電気軌道の山本拓郎社長が堺市役所を訪れ、竹山市長に「来年度はさらに赤字がふくらむ」と述べ、支援策を早急に打ち出すことを訴えた。

 これに対し、竹山市長は堺市が阪堺線存続に向けた検討会を設置することを伝える一方、「支援は税金投入となるので拙速に結論は出せない」と答えた。

 あれから約1カ月。堺市はLRT計画の中止と、同社と阪堺電気軌道の経営予定者を解除、公有民営化の撤回を決定した。これにより、今後の焦点は阪堺線の堺市区間について堺市側がどのような支援策を打ち出すかに移る。

 ■抜本策が崩れる

 阪堺線の堺市内の区間は年間で2億円以上の営業損失を計上するなど赤字が続き、もともと同社が平成15年に市に対し「採算性が厳しく廃止したい」と存廃協議書を提出していた。

 それが堺市が南海高野線堺東駅−同本線堺駅(1・7キロ)のLRT整備事業(早期開業区間)を具体化させた際に、阪堺と南海を経営予定者に決定、阪堺線の堺市区間(浜寺駅前−我孫子道)と一体的に低床型のLRTとして整備する計画が浮上したことで存続の抜本策として期待された。

 前市長時代には堺区間の鉄道設備を市に譲渡、土地も貸与して運営を同社が担当する「公有民営」方式で基本合意ができつつあったという。ところが、昨年9月の堺市長選で初当選した竹山市長がLRT事業の中止を明言したことで存続の抜本策の前提が崩れてしまったのだ。

 ■タイムリミット

 阪堺は「堺区間を公有民営化し需要の見込めるLRTと一体経営することが再生の最善の方策だった」と主張。そのうえで「阪堺線に対する市の考えを示してほしいが、その間にも赤字が拡大する」と不安を隠せない。

 これに対し竹山市長は「阪堺線の存続のため検討委を立ち上げ、南海や阪堺からも意見を十分聞いたうえで有識者や市民の代表の声も参考にしたい」と手続きに理解を求める。

 これまでの市と阪堺側との協議では22年4月に公有民営が始まる予定だっただけに、山本社長は「超低床車やICカード導入などの設備改善するなど、継続して利用者増の見込みがないと存続は難しい。有効な支援策がなければ廃止も考えざるえない」と抜本的な経営改善策の必要性を訴える。

 支援策の“タイムリミット”についても、竹山市長が「秋ごろまでに示したい」とするのに対し、阪堺側は「年度内にも暫定支援を」と要請。南海側も秋までに市の支援策を受けての結論を判断したい意向で、存続への危機感に温度差があるようだ。

 存続の可能性について、南海電鉄の亘社長は「現時点では判断材料はなく、堺市がどういう支援策を打ち出していただくかで対応を考えたい」と話している。

 年明け早々に設置された堺市の検討委で双方が納得できる支援策がまとまるかが、堺のチンチン電車存続のカギを握る。

 (松岡達郎、石川有紀)

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